2010年06月25日
アメリカの住宅を見てきた・・・38

頭の中で、このビバリーヒルズの街なみから、樹木を除いてみた。ますます、住宅展示場に似ているように思えてくる。それは庭木だけではない。街路樹も同様にしっかり育っているのである。高級感を与えている原因は、この緑の他にはない様に思えてきた。
通りの歩道も、これまでに見てきた街と同じつくりである。つまりコンクリート板が連なっているようなものだ。さすがに単なる板のようではないが、歩道そのものは決して広いものではない。しかしそのコンクリートの歩道の脇には、しっかりと手入れがされた芝生がある。そう、これだけでも立派な感じがするものである。
これが日本であったらどうであろうか。
おそらく芝生の代わりに雑草が生えて、見るも無惨な姿になるに違いない。日本人は自然に調和するから、このような芝生の管理をするようなことは望まないのだと、変な理屈が聞こえてくる。それでいて、京の北山の植林で整然と並んだ杉の森を見て、自然は美しいと語る。正直言うと、どちらが本物かわからなくなる。
だいぶ昔のことであるが、沖縄の事例を話に聞いたことがある。
アメリカ軍の基地内として管理されていた空地が、日本に返還されて公園となった場所があるという。とても綺麗に芝生が植えられて景色の良かったものが、日本の管理になったら公園遊具こそは揃っているが、雑草が伸び放題になったという。今の自分には、どうしても日本の方がさぼっているようにしか思えない。それだけの力を込めなければ、この街は完成されないのである。そう考えると、日本の総合展示場でさえ、まともな管理がなされていないと思える。残念である。
さらに、感じた違いはカーポートがないことだ。これまでにもいくつかの街を見てきたが、日本のように裸の車をおいているよりは良さそうだが、結局はシャッター街を思わせるガレージがあった。しかし、ビバリーヒルズには、ガレージも露骨には見あたらない。それどころか、各家ごとに車寄せがある。
風景の中からよく見ると、車寄せの脇から裏庭に通じている道路があり、その奥に車が止められるようになっている。
結局は、そこまで敷地が広いのかということにつきるのかもしれないが、建っている家は平屋の様に見えて豪華さを感じることが無くても、この余裕がすべてなのであろう。
そして、おいてある車も、ほとんどが高級車の様である。しかもほとんどが1台ではない。やはり豊かな生活が感じられる。

この風景を見た時に、聞かされていたエクイティを思い出した。ファイナンスで使われるところのエクイティである。
勝手な想像ではあるが、本当に家が素晴らしいとは思えないところもある。しかし、これだけの環境が整い、住人の質が揃い、住宅のマーケットとしても価値が出てくる。このことは当然、残余価値を生み出すことにより、エクイティローンが組めることになる。つまり、こういう場所に住んでいるだけで、高級車を手に入れるだけの資産価値を生み出していると言うことである。
NHKスペシャルでも、以前報道していた。日本車のコストダウンに負けたGMの戦略の裏に何があったのか。GMは車の開発をしていたのではなく、ローンの開発をしていたのである。不動産を取得して、その価値が上がる度にローンを組めば、高級な車にも乗れる様になる。そのためのローンであり、それもやはりエクイティローンと言われていた。元従業員の厚生まで含めて費用がかかれば、当然自動車のコストも高くなる。日本の自動車会社のコストダウン能力の問題だけでもない。企業の体質そのものの問題なのだ。しかも、その解決を住宅のエクイティに付帯させて実行してきた。
サブプライムローンの勉強としても見学に行ったアメリカの住宅視察であるが、まさに高級車が並んでいる、ビバリーヒルズの風景は、その象徴でもあると感じた。
